これまでのLGBTとこれからのLGBTについて

ARTICLE

公開日:2026/05/02


今回、ご紹介したしますのは「これまでのLGBTとこれからのLGBTについて」の特集コラムです。LGBTを知るには、現在のことだけでなくこれまでのLGBTについても把握していくべきかと思います。日本は古くからの多様性の受容と、近代における西洋化・法整備の遅れという2つの側面を持っています。近年は意識変化が進む一方で、法的な平等にはまだまだ課題が残されています。世界主要各国で唯一同性婚や法的差別禁止法が存在せず、先進国内で「ワースト2位」とされるなどまだまだ改善していかなければならない中で、わたしたちにできることもより考えていかなくてはなりません。

これまでのLGBT

世界でみるLGBTとは

性的マイノリティの総称(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)で、1990年代に欧米で連帯が始まりました。世界中で同性愛の病理化(病気扱い)からの脱却が進み、世界保健機関(WHO)も1990年に同性愛を疾病リストから除外し、2001年にはオランダが世界で初めて同性婚を法制化しました。それ以降欧米を中心に同性婚やパートナーシップ制度が法制化され、権利擁護の動きが加速しました。

日本でみるLGBTとは

世界各国同様、1990年代にLGBTという言葉が浸透し始め、LGBTの当事者は存在しておりましたが、日本ではなかなか認知されず世界各国と比較するとかなり遅れをとっていました。当事者が周囲にいないと認識されたり、社会的に存在が隠されたりする傾向がありましたが、ようやく日本では2015年頃、東京都渋谷区などで同性パートナーシップ制度が開始され、地方自治体での認証が広がりました。これをさかいに性的多様性への理解が進み、メディアや大企業を通じた広がりが加速しました。また、SNSの発達により、当事者が声を上げやすくなり、早期に自己認識できる環境が整いました。そんな中、2023年には LGBT理解増進法が成立しました。

※LGBT理解増進法

性的指向・性自認(SOGI)の多様性に関する国民の理解を深め、共生社会の実現を目指す「理念法」です。国の基本計画策定や学校・企業での教育・啓発を努力義務とし、差別の禁止や同性婚の法制化は含まれません。また、議論の過程で「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」という文言が追加されました。

これまでのLGBTの問題点

問題点(世界)

約70カ国以上で同性間の性行為が違法とされているなど、同性婚やパートナーシップ制度が認められていない国が多く、相続、医療同意、税制上の優遇措置などが受けられないなど、差別を解消するための法律が十分に整備されていない国も多く、特に日本を含む一部の国では「差別禁止」よりも「理解増進」の議論が優先されがちです。

問題点(日本)

法整備の遅れ、社会的な理解不足、およびそれらに起因する生活上の困難です。G7諸国の中で唯一同性婚を認めていない国であり、当事者は法的な保障がない中で生活しているのが現状です。また、同性カップルは法律上の「夫婦」と認められず、相続権、税制上の優遇、配偶者控除、医療現場での家族としての同意権などが認められず、 2023年に「LGBT理解増進法」が成立しましたが、理念法に留まり、差別禁止規定が含まれていないことから実効性が低いという批判があります

これからのLGBT

LGBTに関するこれからの展望

単なる「認知」の段階から具体的な「権利保障」と「社会システムへの統合」へシフトしていくと予想されていく中で、経済規模が大きな国家:G7の中で日本だけ唯一、同性婚や同性パートナーの法的な保護が完全でない状況から、早急な法整備への動きが求められています。地方自治体のパートナーシップ制度は普及しつつありますが、国レベルの法的な婚姻の平等(同性婚)が主要な論点です。2023年に施行されたLGBT理解増進法を受け、実効性のある理解促進、職場での差別禁止、学校での教育環境の整備がより求められ、企業や学校教育において、性的指向・性自認の多様性は当たり前の前提となる方向へ向かっています。一方、世界に目を向けると、結婚の平等(同性婚)は、ヨーロッパや南北アメリカを中心に普及しており、今後も法制化する国は増えると見られており、37以上の国や地域で同性婚が合法化されており、今後もこのトレンドは続くと予想されます。ですが、日本は同性婚を法制化しておらず、法的な理解や制度保障は相対的に遅れています。そんな日本でも自治体のパートナーシップ制度は76以上に拡大しているので、今後ますます拡大される見込みです。

わたしたちにできること

日本におけるLGBTQ+(性的マイノリティ)への取り組みは、企業、自治体、教育現場などあらゆる場所で急速に広がっています。主な事例として、同性パートナーシップ制度の導入、社内福利厚生の同性カップルへの適用、ジェントイレの設置、研修による理解促進、および結婚の平等を求める活動などが挙げられます。これらに加えて、個人個人ができることは書籍、映画、メディアを通じて、当事者が抱える困難や日常の課題など、当事者の声に耳を傾けることです。性別に関係なく、その人個人として尊重する言葉選びにも気をつけていくべきことです。もし身の回りの職場や学校で偏見や差別的な会話があった場合、同調せずにその場を離れる、または注意するなど学んだことを周囲の人と共有し、理解の輪を広げていくことが今すぐにわたしたちのできることではないでしょうか。